歴史
GAZ-63の設計は1938年4月に開始された。翌1939年末には後輪を複輪とした試作車が数台製作され、1943年末には後輪を各シングルタイヤとした試作車が登場した。
最終型ではGAZ-51との部品共通化が最大限に図られ、主な相違点は前輪駆動用のトランスファーケースと2段式副変速機であった。GAZ-63は、18インチのシングルタイヤを各軸に装備し、前後輪のトレッド幅を同一としたソ連初の自動車であった。
GAZ-63の生産は1948年9月に開始された。その後、牽引力4.5トンのウインチを装備したGAZ-63Aや、セミトレーラー牽引用のGAZ-63Dなども生産された。GAZ-63系列車の生産は1968年まで続いた。
また、GAZ-63の車体を基礎として、BTR-40(GAZ-40)装甲兵員輸送車も製造された。
構造
本車はフレーム形式を採用し、前輪駆動を切り離すことができる四輪駆動方式であった。駆動系には、駆動軸へつながる2本のプロペラシャフトと、変速機とトランスファーケースの間に配置された中間シャフトが用いられていた。
前後のオーバーハングは短く、全輪にシングルタイヤを装着していた。なお、タイヤ空気圧の集中調整装置は装備されていなかった。
280×457 mmサイズの自動車用タイヤを装備しており、積雪地や湿地を走行する際には、短時間であれば空気圧を0.7 kg/cm²まで下げることができた。ただし、この状態では走行速度を10 km/h以下に抑える必要があった。
このような低圧状態でのタイヤ寿命は150 kmを超えないものとされていた。一方、通常空気圧2.8 kg/cm²で使用した場合の保証走行距離は1万 kmであった。
本車にはコンプレッサーが搭載されていなかったため、野外でタイヤに空気を入れる際には、エンジンのスパークプラグの代わりにシリンダーへねじ込む専用装置が使用された。エンジンを始動すると5気筒で作動し、残る1気筒を簡易的な空気ポンプとして利用する仕組みであった。
この装置の吸気弁は、通常の吸気マニホールドやキャブレターよりも空気抵抗が大幅に小さくなっていた。そのため、空気ポンプとして使用するシリンダーには燃料と空気の混合気ではなく、清浄な空気のみが送り込まれる構造となっていた。
バリエーション


- GAZ-63A - ウインチを装備したタイプ。
- GAZ-63AE - 電装系に電磁波遮蔽を施したGAZ-63A。
- GAZ-63AU - GAZ-63Aの輸出仕様。
- GAZ-63AYu - 熱帯地域向けGAZ-63A輸出仕様。
- GAZ-63D - ダンプ式セミトレーラー牽引用のトラクターヘッド。
- GAZ-63E - 電装系に電磁波遮蔽を施したGAZ-63。
- GAZ-63EU - GAZ-63Eの輸出仕様。
- GAZ-63EYu - 熱帯地域向けGAZ-63E輸出仕様。
- GAZ-63Ye - バス用シャーシ。
- GAZ-63YeU - GAZ-63Yeの輸出仕様。
- GAZ-63YeYu - 熱帯地域向けGAZ-63Ye輸出仕様。
- GAZ-63P - セミトレーラー牽引用のトラクターヘッド。
- GAZ-63PU - GAZ-63Pの輸出仕様。
- GAZ-63U - 輸出仕様。
- GAZ-63Yu - 熱帯地域向け輸出仕様。
- BTR-40 - GAZ-63を基礎として開発された装甲兵員輸送車。
- PMG-19 - 消防車型。
- AS-3 - 救急車型。
- ATZ-63 - 軽燃料輸送型。
- TZ-63 - 燃料輸送型。
- BM-14-17 - 自走ロケット弾発射機。
- RS-363 - 除雪車型。
