概要
戦いの神でありながら人間であるディオメーデースに敗北したほか(アテーナーがディオメーデースの支援をしていたが)、英雄ヘーラクレースからは半死半生の目に遭わされている。また、巨人の兄弟アローアダイ(オートスとエピアルテース)により青銅の壺の中に13か月間幽閉されるなど、神話ではいいエピソードがない。これはアレースの好戦的な神格がギリシア人にとって不評だったこと、主にギリシアにとって蛮地であるトラーキアで崇拝されていたことによる。
基本的に神々の中では嫌われているが、愛人のアプロディーテーや従者と子供達、そして彼が引き起こした戦争が冥界の住人を増やすことから、冥界の王・ハーデースとは交友がある。
戦場では普段は徒歩だが、場合によっては黄金の額帯を付けた足の速い4頭の神馬に戦車を引かせ、青銅の鎧を着込んで両手に巨大な槍を持ち、戦場を駆け巡った。
トロイア戦争では、地面に倒れた際にその体は7エーカーもの土地を覆ったとされる。
係累
神話
ポセイドーンの息子の1人・ハリロティオスがアレースの娘アルキッペーを犯し、激怒したアレースはハリロティオスを撲殺した。ポセイドーンは激怒し、アレースを神々の裁判にかけることを主張し、それを認められた。こうしてアレースの丘で世界初の裁判が開かれることになった。アレースは情状酌量の余地があるとして無罪となり、これ以降重大事件の裁判がアレースの丘で行われるようになった。
コリントス王シーシュポスはゼウスの怒りを買い、死神タナトスによって冥界へ連行されようとしていたが、シーシュポスはタナトスを騙して監禁し、地上の人間が死ななくなったため、アレースは彼を救い出した。
怪物テューポーンがゼウスの王権を奪おうと攻撃し、神々は変身してエジプトへ逃げた時、アポローンは鷹に、ヘルメースはコウノトリに、アレースは魚に、アルテミスは猫に、ディオニューソスは山羊に、ヘーラクレースは子鹿に、ヘーパイストスは雄牛に、レートーはトガリネズミに変身した。
アレースとピュレーネー(またはペロピアー)の息子キュクノスをヘーラクレースが殺した際、アレースが息子の死を怒りヘーラクレースと闘おうとしたが、ゼウスはそれを良しとせず二人の間に雷を落とし闘いを止めた。
『ホメーロス風讃歌』「アレース讃歌(第8番)」では槍の使い手であり、黄金の兜と青銅の鎧と楯をまとい、火を吐く馬どもの戦車を操り天空を巡り(火星のこと)、オリュンポスや都市を護り、人間たちに光と武勇を与え、強い力でもって勝利と平和をもたらす神であり、掟の女神テミスの支援者であり、勝利の女神ニーケーの父であると歌われている。
